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壽耕舎

建 築 地 :兵庫県芦屋市
主 用 途 :カフェ・物販・テナント
構  造 :RC造
規  模:地上2F
竣 工 年 :2009年11月
   

比較的長い年月での社会の変化や、日々刻々の日常的変化を許容する包容力を持ち、かつ建物の永続性を支える確固とした存在感を持たせるにはどうしたらよいか。長い年月使われ続けた建物には、様々な異なる次元を持った要素がコラージュのように折り重なっています。そして大切なことは変化の積み重ねとは全く別次元のタイムスパンを持った、それらを包容するかのような骨格が存在することです。例えば古民家の小屋組やバシリカ式教会のクリアストーリーより上部のように。

敷地は北側正面に商店街があり、南側に阪急芦屋川のホームが隣接するL字型の土地。商店街側にRC躯体を配し、その南側開口に斜めの梁を掛け、L字奥の木造部分を増築したかのような構成としています。開口に斜めに梁を掛けるというアイデアは「増築」という発想から生み出されたものであり、内部と外部が劇的に並列される効果をもたらしました。RC壁に継ぎ足したかのような木の架構は、RCと木部とが同じ次元に無いかのような浮遊感を感じさせます。木の架構、列車が疾走する駅のホームの情景、物販やカフェの賑わい、商店街の街並み、人通り、太陽光等々、様々な要素が重なり合うように取り込まれる。この変化に富んだ重なり合いが、日常の変化や建物の使われ方の変化がさらにコラージュされていく基盤となり得、また許容する変化の幅も大きくするのではないかと考えています。

一方、木による小屋組はそれらの変化とは別次元の様相をなしている。物販の小屋組は、モノが置かれ人が行動する高さからは切り離され、変化せず存在すると同時に2階のテナント部分の小屋組みへと続く連続性を形作る。2階のテナント部分は特に変化が激しく使われ方の予想しにくいスペースでしょう。この小屋組みが建築としての存在感を失わずに変化を許容する、強い象徴的骨格となると考えています。