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泉北K邸

建 築 地 :大阪府堺市
主 用 途:住宅
構  造:木造
規  模:地上2F
竣 工 年 :2006年3月
   

敷地は郊外の住宅団地。開発が行われてから時間がたち、それぞれの家が2世代目に入ろうとしている。当初は無機的な感もあったであろう町並みは、時間をかけてやわらかさを生み出し、それは近隣との良好な人間関係にも現れている。
生活の中心であるリビング・ダイニングには、南の庭越しに道行く人の気配を感じ、キッチン上のスリット窓から緑道をジョギングする人の気配が流れ込む。四方様々な形で開かれた窓からは、一日の時間の移り変わりに合わせて光や風が入り込む。また、この場所は家族の生活にとっても外部的な位置をとり、2階のフリースペースや子供室に開けられた開口から子供たちの生活の気配が流れ込む。日々、刻々と様々な刺激が感じられるスペースである。
陽の光を家の隅々にまで行き渡らせ、様々な刺激を家の中に取り込むために、大きなブロックをずらしたような構成をとり、外観にそのまま表れている。これによって、家の内部・外部に様々な異なったシーンが展開する。
住宅の中には、いくつかの異なった時間単位が重層している。日々の暮らしという一日ごとに毎日の必要に合わせて生活する住宅におけるパブリックな時間単位と、そこから離れたプライベートな生活時間。この住宅においては、外部とも直接に交流のあるパブリックな生活時間を形成する場所を、白く素材感の無い材料でまとめ、プライベートな生活時間を形成する場所を、黒く素材感のある材料でまとめている。そしてまた、家族の長い記憶を形成するであろう30年、50年といった長い生活時間を形成するように、日々の生活時間を包容する大きな吹抜空間をつくった。これらの3つの異なる生活時間を重層させることで、日々の暮らしを活性化させると同時に、日々の変化に対する包容力をこの住宅が持ちえるのではないかと考えた。